2007年11月6日火曜日

底地評価の基本的な考え方

(1)東京地裁民事21部の「運用基準」
 東京地裁民事21部の「運用基準」によれば、底地の評価は、更地(建付地)価格-借地権価格=底地価格の考え方で評価すると規定されている。全国的にも、この「基準」を基にして、案件を処理している例が多いといわれている。しかし、この「運用基準」方式によって底地の評価を行うことは、価格面では、不動産取引における実態から大きく離れることになる。
更地価格-借地権価格=底地価格、つまり借地権価格に底地価格を加えたものは、100%であるとする考え方は、地主と借地人の当事者間の取引に限っていえば、ほぼ妥当なものである。借地権割合が80%~90%も認められる地域においては、問題は相対的な意味で小さいといえる。ところが、借地権割合が30%~40%程度の地域において、この運用基準方式で底地の評価を行うと、底地価格(割合)が更地価格の60%~70%となり、一般人(第三者)が底地を買う価格としては、妥当性を著しく欠いた評価額となってしまう。
 不動産鑑定評価基準は、『底地の鑑定評価額は、実際支払賃料に基づく純収益を還元して得た収益価格及び比準価格を関連づけて決定するものとする』と規定している。しかし、底地が第三者に単独で取引されることは極めて少なく、借地契約の多様性等からいって、底地の比準価格を求めることは実際上は困難である。底地の評価は、収益価格を基として、将来、借地権が消滅し、完全所有権(更地または建付地)になる期待可能性を加味して評価額を決定するのが、妥当性のある手法である。 土地の所有者(競落人)の手にはいるのは地代でしかないわけだから、地代を基にする収益価格でもって地上権のついた土地(底地)を評価するのが妥当である。                                                                                                
(2)金融機関の取扱い
 一方、抵当権を設定する側=金融機関が、底地の担保価値をどう把握しているか、借地権者は、更地価格-借地権価格で買取る事ができる、しかし、借地人に買い取りの意思および資力がなければ、その手法は採用できないから、担保査定の場合には、特段の事情のない限り適用すべきでない、そこで、底地の価格は原則として賃料徴収権の対価と考えるべきで、現行賃料の額および還元利回りがポイントとなる。底地については、厳しい査定を行っているのが実情である。  
表面利回り
   年間収入÷購入費
   純利回り
   (年間収入-固定資産税+管理費+修繕費+金利)÷(購入費+リフォーム費)
   実質利回り
   純利回り+経済リスク+収益変動リスク+老朽リスク+売却リスク
を考慮する必要がある。