2010年9月7日火曜日

借地の研究(007)

1.正当事由


立退料の提供は補完要因


自己使用
親族等の使用の必要性
生計の事情
建物増改築
建物修繕
建物新築必要性
有効利用の必要性
移転先の提供
賃貸借の事情
地主の破産
地主変更
自己の必要性
生計の事情
建物を賃貸する必要性
従来の事情
      
を比較考量して決定する。


借地人の破産(最高裁判例 昭和48年10月30日判決)

借地人が破産して地主が解約の申し入れをする場合も、正当事由が必要としている。また、民法612条の賃借人の破産による解約申しいれの規定も削除された。

 破産宣告を受けた日までの滞納分は、滞納賃料債権として「一般の破産債権」として扱われます。敷金を差押えられた場合にも、賃貸人は差押え前にすでに発生している賃料債権と敷金返還債務を相殺することができる。
 賃貸人が破産した場合については、第3者に対する対抗要件を備えている場合は賃借人は保護されます。

建物の朽廃と借地明渡し問題

朽廃とは、建物としての社会経済的効用を失う程度に腐食・損壊している状態をいいます。建物の一部分が朽廃していても、建物全体からみれば、まだ建物としての効用を残しているような場合は、朽廃とはいえません。木造建築物においては、柱、桁、小屋組、梁が折損し、屋根瓦がずれ落ち雨漏りがひどく、土台等が腐食していて、取り壊した材料がほとんど役に立たず、修理をすると新築に近い程度の費用が必要な場合には朽廃したといえる可能性があります。風水害や火災による滅失毀損は、朽廃にはあたりません。存続期間が法定された場合も、建物が朽廃すれば借地期間満了前でも、借地権は消滅することになります。しかし、新借地借家法では、朽廃による借地権の消滅の制度はなくなっています。ただし、旧法適用の借地権については従前通となります。

しかし、裁判所としては借地人が居住している以上、建物としての社会的効用を失っているとは認定しにくいようです。

土蔵作りの築80年の建物、トイレも外にあり、居住と言う意味では老朽した建物であるが、現実に居住している者があれば、朽廃とは言えないのである。災害の危険があり、立退交渉を行うとしても、建物と同時進行しているのが賃借人の老齢化である。特に、借地の場合は建物の所有が賃借人であり、一方的に危険であるからと取壊すわけにもいかない。一部には、古家を維持し地代を支払い、立退交渉を待つ人々も存在する事は事実である。


借地法2条1項
朽廃
借地法7条
滅失