国有地借地
東京地裁昭和55年1月30日判決
国有財産・・普通財産の貸付けに関しては、国有財産法が適用される。国有財産法に規定が無い場合には、借地借家法・借地法の規定が適用される。
国有財産については、国有財産法の規定が優先的に適用されます。そして、各儀書換承諾料の額等についても、一定の基準が定められています。
国有財産普通財産の貸付期間は30年となっています。
名義書換承諾料
相続税評価額×借地権割合×10/100
増改築承諾料
相続税評価額×5/100
×3/100(非堅固)
賃料についても算定基準があります。物納条件においても、この算定基準に適合する必要があります。一般の契約と違うとすれば、権利金等の授受がない事です。
地代
地代の決定要因
地代と利回り
住宅地の地価は0,8%
2,2~2,6%
1,5~2%程度
1/2~1/3
借地は優良資産
普通借地権の地代水準
地代の公租公課倍率
住宅用地 4.2倍~3.1倍
非住宅用地 3.5倍~2.4倍
東京簡裁等の調停成立状況
住宅用地 3.1倍
非住宅用地 2.4倍
調停委員会の適正賃料額
昭和49年10月11日 東京地裁民事第22部
「調停部だより(8号)」
地代は公租公課の2~3倍の額をもって適正地代とするのが比較的妥当。
平成5年1月 浦和地裁管内簡裁民事事務汎査会
「賃料改定調停事件処理要綱」
①[建築価額(取得費)×(1-経過年数/耐用年数)+減価償却費+固定資産税等諸経費]×1/12
②[固定資産評価額×2.5×期待利回り率+減価償却費
+固定資産税等諸経費]×1/12
地代の値上げ
地代の値上げ問題
最高裁平成3年11月29日判決
地代・借賃が決められた時から相当の期間が経過しているかどうかは、地代が「不相当である」かどうかを判断する一つの事情である。現行の賃料の改訂いから一定期間経過しているか否かは、賃料が不相当となったか否かを判断する事情にすぎない。借主は賃料が不当となっているのであれば、相当期間が経過していない事を理由として増額請求を否定することはできない。
社会的経済的に事情の変動がある事。
一定期間増額しないとの特約・・有効
一定期間が経過しないととの特約があっても減額請求は許される。
契約書に増額の規定だけの場合も、減額請求は可能。
地代の評価方法
(1)借地借家法第11条①(地代と増額請求権)
イ、土地に対する公租公課の増減
ロ、地価の上下
ハ、その他経済事情の変動により比隣の地代に比して不相当となりたるとき将来に向かって地代の増減の請求が出来る、こととされています。
評価方法
イ、積算賃料
地価に一定率を乗じた額に、公租公課を換算して月額にした賃料、この場合賃料の基礎価格として、更地の30%程度が地主の元本としての価格として求められます。
ロ、スライド方式の賃料
前回値上げした時点から値上げ要求のあった時点までのGDP・GNOの変動率を採用して求めます。
ハ.利回り方式
平均的な利回りを基準に求めます。
留意点
最高裁判所はいろいろな手法で求めたものを、総合的に考慮して判定する必要があるとしています。
サブリース契約の賃料減額請求。
判例は
賃料の自動増額特約減額は認められないとするものと、特約で値上げ率の変更が可能な場合に増額0%は大丈夫とするものがある。
東京高裁平成14年3月5日判決
転賃目的のビルの一括賃貸借には借地借家法32条の適用がなく、当事者は賃料の増減額の請求権を持たない。
転賃目的の賃貸借は、家賃保証の期間後は賃借人、賃貸人の双方から解約の自由を持つものである。一定の事業目的のために一定期間、固定賃料を定めたものであるとし、解約の自由は認めるものの、減額請求は認めていなかった。
しかし、最高裁平成15年6月12日判決では、借地借家法の規定に基づく家賃減額請求権の行使を認めるとの判決がされている。
サブリース判決
賃料の減額請求
賃料の減額請求に賃貸人が応じない場合には、賃借人は、調停(及び訴訟)によって賃料の改定を求めます。
この場合賃貸人は、従来どおりの賃料を請求する事ができます。
この場合には、賃借人が賃料減額請求権(借地借家法32条1項)を行使した時から裁判所により客観的相当額が決定された時までの期間について年1割の利息の支払をしなければなりません。(借地借家法32条3項)
賃借人が賃料の減額請求を行い、従前の賃料額を支払わない場合には、債務不履行を理由に賃貸借契約の解除をすることが可能となります。
賃借人は従来どおりの家賃を供託する手続をとるのが一般的となっています。賃貸人としては、賃料の減額請求に対して、急いで対応する必要はないと言えます。ゆっくりと交渉していく事となるのです。しかし、賃料の減額に関しては、その影響は一人の借地人だけで止まらない場合が多く、注意が必要です。基本的には、現在の近隣の賃料相場に照らして、適正な賃料であるかを検証し、その対応を図るべきでしょう。