2010年11月6日土曜日

借地の研究(009)

公法上の境界と私法上の境界


公法上の境界

筆を異にして隣接する土地の境目のことで、土地の所有者とは関係なく、客観的に定まっているものであり国のみが定めることができるものです。

私法上の境界

土地の所有権の範囲であり、隣接する土地の所有権の境目を意味します。

隣接の所有者により地番の境目を協定したとしても、公法上の境界を定めたことにはならないのです。公法上の境界と私法上の境が一致しないことはあり得るのです。



境界確定の当事者は土地の所有者です。借地人同士がもめていても、借地件の範囲の問題です。この違いを明確に刈る必要があります。


公図と14条地図

昭和35年の登記制度と台帳制度の一元化により、旧土地台帳が廃止された。不動産登記法14条により、登記所に現地復元性を有する地図を備え付けることとなった。しかし、この地図の整備作業が進まず、平成5年以降公図が14条(17条)地図に準ずる図面としてしりあつかわれる様になっています。

公図は作成目的が徴税のためのものであり、正確性を欠き登記法17条地図のような現地復元性を持たないが、境界確定の証拠として利用されている。しかし、公図には形成力・公定力・公示力と言った効力は認められていません。ただ、事実条の証明力が認められているにすぎないのです。判例においてもその判断はまちまちです。

国土調査と境界

昭和61年7月14日最高裁判例
地積調査は、土地の原状を調査するものであり、その結果によって境界を確定したり、形成する効力を有するものではない。調査の結果地積図が作成されたとしても、その記載どうりに境界が確定しているわけではない。

境界確定訴訟の性質

平成7年3月7日最高裁判例
公簿上特定の地番により表示される土地が隣接する場合。その境界線が事実上不明なため争いがある場合、裁判によって新たにその境界を定めることを求める訴えを提起することができる。形式的形成訴訟としている。

境界確定訴訟と所有権確認訴訟はの併合、訴えの変更は可能です。境界の問題と所有件の範囲の問題は違う問題だとの認識が必要です。