2010年5月4日火曜日

借地の研究(004)

契約解除通知書


 貴殿と私との間で締結した下記記載の土地に関する賃貸借契約(以下「本契約」という。)について、以下の通り通知致します。

 貴殿は本契約に基づく賃料の支払いを平成××年××月分以降、××月間怠っています。そのため私は貴殿に対して、平成××年××月××日付の催告書において、同年××月××日を限りとして、同滞納賃料相当額をお支払いただくように催告しました。しかしながら、同期日経過後、本日に至るも、滞納賃料のお支払はおろか、誠意ある回答もいただいておりません。よって私は貴殿に対して本通知によって、本契約解除の意思表示をいたします。

 したがって、同土地を平成××年××月××日までの明渡し、並びに同滞納賃料相当額及び遅延損害金の支払いを請求致します。

 なお、損害金等の正確な金額については、別途計算のうえ後日請求させていただきますので予めご承知おきください。

 
契約解除通知書

 貴殿と私との間で締結した下記記載の土地に関する賃貸借契約(以下「本契約」という。)について、以下の通り通知致します。

 貴殿は本契約に基づく賃料の支払いを平成××年××月分以降、××


供託金の還付と取戻し


供託がされた場合に、被供託者は、法務局で、その供託金を受領する事ができます。


〈供託金の還付〉

最高裁判例 昭和33年12月18日

 賃貸人(被供託者)が、何ら留保を付けないで供託金を受け取ったときは、それ以上の金額を残額として請求できない。

 賃貸人(被供託者)は供託金額が増額賃料の一部弁済である旨の留保の意思表示をして、受領する必要があります。従前の地代額が供託されていた場合に、保留せずに供託金を受け取った場合には、従前の地代を認めたとされるのです。これを回避する方法として裁判上では以下の方法が認められています。

 
最高裁判例 昭和36年7月20日

 賃貸人(被供託者)が、賃借人(供託者)に対して、供託金額を増額賃料の一部弁済として受領する目的で供託書を送付するよう求める通知書を送った場合


最高裁判例 昭和38年9月19日

 賃貸人(被供託者)が、供託金額を増額賃料の一部弁済として受領するとの通知書を添付して供託所に対して供託金の還付手続きを行った場合


最高裁判例 昭和42年8月24日

 賃貸人(被供託者)が賃借人(供託者)に対して、供託金を受領するまで、一貫して供託金を超える金額を請求する訴訟を維持継続している場合には、留保付きの還付請求をしたと認められます。


〈供託金の取り戻し〉

 賃借人(供託者)は、賃貸人(被供託者)が供託金の還付を受けるまでは、原則としていつでも〈民法 469条 〉

供託金を取り戻すことができます。しかし、この取戻権は10年で時効消滅すると解されています。(最高裁判例 昭和45年7月15日)

 又、供託金を取り戻した場合は、賃借人が供託をしなかったのと同じ状態になり、賃料が遅延している状態となるのです。


相当と認める金額とは何か。

 客観的に適正な賃料額ではなく、賃借人が主観的相当な賃料額であると判断した金額で足るとされているが、増額請求がされているのに、従来賃料より安い金額を供託した場合や、減額請求をした賃借人が従前の賃料より安い金額を供託した場合、又、公租公課を下回る金額を供託した場合には、債務不履行となる。

 長期間の供託により、供託額が公租公課を下回るなど著しく低額になった場合には、賃借人として信頼関係を破壊する事となる場合があります。

 賃貸人としては長期の供託がされており、公租公課を下回る場合などには、公租公課額を下回る旨の通知をし、その後に信頼関係が破壊されたとして、契約解除する方法が考えられます。

※従前の賃料の1/3、適正賃料の1/10は相当と認められる額ではない。債務不履行となる。解除原因となる。

権利金と敷金、保証金との意味を混合している人がいます。

敷金の返還請求については、新しい判例がでています。一般に言う敷引の判例ですが、消費者保護法により条項が無効とまでいわれています。


賃貸人から借地人への供託金の受取りの通知


通知書

 私が、貴殿に対し、平成××年××月××日より賃料1ヶ月××万円で賃貸している後記記載土地について、平成××年××月××日付内容証明郵便をもって、賃料を平成××年××月××日より、1ヶ月××万円に値上げする旨を通知いたしました。しかし、貴殿は、不服ということで、旧賃料相当額を同年×月分として、×××法務局へ平成××年××月××日付で供託されました。

 つきまして、同供託金を還付して同月分、新賃料の一部に充当しますので、この旨を通知いたします。

 なお、同還付は旧賃料相当額を継続する趣旨ではなく、また貴殿が引き続き供託される場合は同様の措置をとることを念のため申し添えます。


継続的な地代の値上げが可能か、適正な地代への値上げであれば可能(適正な増額であれば可能)と考えられます。適正な地代への値付けであっても、一度に30%増額は認められないと考えられます。長期的な視野にたって、行う必要があります。物納条件の地代水準が、その基準となると考えられます。