改正信託法が施行されたが、資産承継対策に新しいツールが増えたと言える。
1.受益者連続信託(後継ぎ遺贈型信託)
信託委託者が、信託受益権の承継者を継続的に指定することができるよう似なりました。自分→配偶者→長男→孫へと連続して信託受益者とする事を決めることができるようになりました。本人が死亡した後も信託契約の内容が連続的に適用され、今まで遺言で出来なかった連続的な遺贈が可能となりました。
遺留分の問題は元本受益権により解決するとして、老後の生活資金の安定や身障者の息子の生活安定資金の確保の為に、連続的に指定する事ができます。
これにより、事業承継における自社株対策としての応用も可能で、その応用範囲は広い。
2.目的信託
財産の管理や処分に関する一定の目的だけを定めた信託が可能となりました。受託者はその日的に従って、受託財産の管理又は処分、目的の達成のために必要な行為をする事ができます。
公益に限らず設定することができますが、存続期間は最長20年とされています。
特定の研究や活動の為に財産を利用して欲しい場合に、特定の目的研究や活動に限ることを目的とした信託が設定可能となりました。医療や福祉活動などへの活用が可能となるでしょう。残されるペットの飼育のための信託も可能であり、その活用の範囲は広い。
従来からの、遺言信託は本来の信託ではありません。遺言書を保管するだけのことです。民法の規定に振り回されて相続争いを繰り広げる、そこには、被相続人の意志は無視されているのかも知れません。自己実現の為の手法として信託を活用する人々が増える日は近いと感じる。
信託を利用した、資産管理、承継対策を検討してみてはどうでしょうか。
2007年10月11日木曜日
土地沿革の調査
調査の対象として、土地台帳、閉鎖登記簿等により概ね明治30年以降の沿革が分かります。
そして、その調べた沿革の中から図面等の資料を収集し、整理します。特に重要なものとして次のようなものがあります。
①旧公図等の古図
一般的に見取図的な公図は、境界線復元には向いていません。しかし古図の中には、正確な測量により作製されたものや、各土地の辺長が記載されたもの、里道・水路のみではあるが、辺長が記載されたものがあります。
②分筆申告図
一般的には昭和25年以降のものが法務局又は市区町村役場に保管されている事例が多いのですが、これも分筆地の辺長が記載されている場合が多いので、参考となります。
③地積測量図
皆様よくご存じだと思いますが、この図面は概ね昭和55年以前と以降により大きく変わります。それ以前は利害関係地との立会を省略して作製された図面が多くあるからです。
④開発図、換地確定図
広範囲に各土地の辺長や角度等が読み取れる場合が多いので、特に重要な資料であります。最近のものでは、境界点等の座標値が入手できる場合もあります。
⑤14条地図と境界点、基準点の座標値
14条作業が最近のものであれば、容易に境界点が復元できます。しかし、この14条地図の作製が昭和50年代であれば、境界点の座標値が存しない場合があり、この場合は図上読み取りにより筆界線を復元しなければなりません。
これらの収集した資料と、測量地や隣接地の周囲にある既設の境界標、現況地物を照らし合わせて、総合的に判断するわけです。
実際の立会時には、境界線について土地の所有者が、ここが境界であるとの認識があるわけですが、双方の認識が合致している場合や相違している場合、又は曖昧な場合があります。
何れにせよ、土地家屋調査士が想定した筆界線(収集した資料により幅がある)の範囲内で境界線を確認することが重要なのです。実際の立会では、双方の所有者の認識と違ったところが筆界線であることもよくあります。
そして、その調べた沿革の中から図面等の資料を収集し、整理します。特に重要なものとして次のようなものがあります。
①旧公図等の古図
一般的に見取図的な公図は、境界線復元には向いていません。しかし古図の中には、正確な測量により作製されたものや、各土地の辺長が記載されたもの、里道・水路のみではあるが、辺長が記載されたものがあります。
②分筆申告図
一般的には昭和25年以降のものが法務局又は市区町村役場に保管されている事例が多いのですが、これも分筆地の辺長が記載されている場合が多いので、参考となります。
③地積測量図
皆様よくご存じだと思いますが、この図面は概ね昭和55年以前と以降により大きく変わります。それ以前は利害関係地との立会を省略して作製された図面が多くあるからです。
④開発図、換地確定図
広範囲に各土地の辺長や角度等が読み取れる場合が多いので、特に重要な資料であります。最近のものでは、境界点等の座標値が入手できる場合もあります。
⑤14条地図と境界点、基準点の座標値
14条作業が最近のものであれば、容易に境界点が復元できます。しかし、この14条地図の作製が昭和50年代であれば、境界点の座標値が存しない場合があり、この場合は図上読み取りにより筆界線を復元しなければなりません。
これらの収集した資料と、測量地や隣接地の周囲にある既設の境界標、現況地物を照らし合わせて、総合的に判断するわけです。
実際の立会時には、境界線について土地の所有者が、ここが境界であるとの認識があるわけですが、双方の認識が合致している場合や相違している場合、又は曖昧な場合があります。
何れにせよ、土地家屋調査士が想定した筆界線(収集した資料により幅がある)の範囲内で境界線を確認することが重要なのです。実際の立会では、双方の所有者の認識と違ったところが筆界線であることもよくあります。
2007年10月8日月曜日
借地権・権利金の発生
地価と地代額が上昇し、地代利回りが低下する中で、(明治30年頃、千代田区の借地で地代の5年分程度を権利金として授受した契約書が存在する)権利金の授受が始められ、借地権取引と借地権価格が成された。
☆地代利回りを2%とすると、地価の10%程度になる
権利金が授受された理由として、地価上昇の中で
①将来の地代値上分
②新旧借地人の地代調整のため
特に②の要素によるものと考えられる。
大阪においてはこの時期に権利金の例がないのは、市街化地に借地が少なかったからである。
借地権売買は、地価の上昇と地代のアンバランスにより貸しているより売却した方が有利であるとの考えによるものである。
権利金の慣行化
借地法制定後に東京で授受例が増加したが、1930年には地価が停滞し地代利回りが回復すると権利金の授受は少なくなった。
権利金は前述の将来の地代値上げ分については、特に有効なものとなった。それは、最低借地期間の法定により必要と考えられたのである。ここで押えておくべきことは、大土地所有の上に多数の借賃がいたからであり、地代上昇傾向が存在したからである。
1920~26年の大土地所有の減少
産業投資を志向する土地所有者において、貸地経営からの撤退が顕著になった。(三菱等の財閥である)
1921年借地法の制定←5大都市のみ
法定最低期間、法定更新、契約終了時・借地権譲渡・転貸の場合の建物買取請求←建物価格
1941年「正当事由」
第1次地代家賃統制例 1939年
第2次地代家賃統制例 1940年
第3次地代家賃統制例 1946年10月1日~
地代家賃を1946年9月30日時点で凍結「停止統制額」その後の地代家賃については物価庁長官の許可となる「許可統制額」この基準は、「付近類似の借地の地代額」「旧地代家賃統制令による適正標準」 1948年10月地租課税率の引き上げ地代家賃統制令は、権利金は地代の前払いとして考えていた。敷金については規制がなかった。
この時期に借地権の割合が一挙に上げられる事となる。土地区画整理事業や課税において顕著となる。
1946年3月の財産税課税では52%(東京都区内・横浜市)
1950年12月~1953年の富裕税課税では90%になった(全国に及ぶ)
地方税法の改正、地租標準課税率
土地の賃貸価格の28.8%~ 24.0%に引上げる。
これにより、借地率は低下し、借地が消滅する。しかし、借地数は増加している。地主が借地人、借家人に土地を売却していく。その一方で新規借地供給が増加したことによる。
1960年より、東京・大阪等の大都市を中心に、「敷金、保証金」の支払いが顕著に増加しているし、権利金の授受については1950年に統制令が解除されると増加した。
東京は更地価格の40~60%
大阪は更地価格の20~50%
更新料は1960年頃より東京周辺で授受され始めた。
住宅地で更地価格の8~12%
商店地で更地価格の12%
堅固な建物で更地価格の15~20%
更新料は1962年頃から一部慣行として生まれてきたといえる。
東京と大阪の借地権の観念の違い
東京
借地が多く、借地権取引・権利金の授受の慣行が存在、借地権価格が確立
大阪
借地が少なく、借地権取引・権利金授受の慣行が存在しない。借地権価格の意識が弱い。
大阪で借地権価格の観念が生まれるのは立退料の慣行化と高額化による。
借地権の成立
①借地人の「借り得」の存在
②東京・横浜での借地権売買の慣行←1923年の関東大震災の後に一般化。
③大阪では、戦後の立退料の高額化を契機とする。
④権利金の授受土地収用・土地区画整理事業での「相当の補償」で借地権の補償。←住宅地20~25%、商業地50%・・・画一的な基準の必要性。
など、借地権・権利金は歴史的な経緯により認識され、確率されてきたものである。この意味では地域性があるともいえる。
☆地代利回りを2%とすると、地価の10%程度になる
権利金が授受された理由として、地価上昇の中で
①将来の地代値上分
②新旧借地人の地代調整のため
特に②の要素によるものと考えられる。
大阪においてはこの時期に権利金の例がないのは、市街化地に借地が少なかったからである。
借地権売買は、地価の上昇と地代のアンバランスにより貸しているより売却した方が有利であるとの考えによるものである。
権利金の慣行化
借地法制定後に東京で授受例が増加したが、1930年には地価が停滞し地代利回りが回復すると権利金の授受は少なくなった。
権利金は前述の将来の地代値上げ分については、特に有効なものとなった。それは、最低借地期間の法定により必要と考えられたのである。ここで押えておくべきことは、大土地所有の上に多数の借賃がいたからであり、地代上昇傾向が存在したからである。
1920~26年の大土地所有の減少
産業投資を志向する土地所有者において、貸地経営からの撤退が顕著になった。(三菱等の財閥である)
1921年借地法の制定←5大都市のみ
法定最低期間、法定更新、契約終了時・借地権譲渡・転貸の場合の建物買取請求←建物価格
1941年「正当事由」
第1次地代家賃統制例 1939年
第2次地代家賃統制例 1940年
第3次地代家賃統制例 1946年10月1日~
地代家賃を1946年9月30日時点で凍結「停止統制額」その後の地代家賃については物価庁長官の許可となる「許可統制額」この基準は、「付近類似の借地の地代額」「旧地代家賃統制令による適正標準」 1948年10月地租課税率の引き上げ地代家賃統制令は、権利金は地代の前払いとして考えていた。敷金については規制がなかった。
この時期に借地権の割合が一挙に上げられる事となる。土地区画整理事業や課税において顕著となる。
1946年3月の財産税課税では52%(東京都区内・横浜市)
1950年12月~1953年の富裕税課税では90%になった(全国に及ぶ)
地方税法の改正、地租標準課税率
土地の賃貸価格の28.8%~ 24.0%に引上げる。
これにより、借地率は低下し、借地が消滅する。しかし、借地数は増加している。地主が借地人、借家人に土地を売却していく。その一方で新規借地供給が増加したことによる。
1960年より、東京・大阪等の大都市を中心に、「敷金、保証金」の支払いが顕著に増加しているし、権利金の授受については1950年に統制令が解除されると増加した。
東京は更地価格の40~60%
大阪は更地価格の20~50%
更新料は1960年頃より東京周辺で授受され始めた。
住宅地で更地価格の8~12%
商店地で更地価格の12%
堅固な建物で更地価格の15~20%
更新料は1962年頃から一部慣行として生まれてきたといえる。
東京と大阪の借地権の観念の違い
東京
借地が多く、借地権取引・権利金の授受の慣行が存在、借地権価格が確立
大阪
借地が少なく、借地権取引・権利金授受の慣行が存在しない。借地権価格の意識が弱い。
大阪で借地権価格の観念が生まれるのは立退料の慣行化と高額化による。
借地権の成立
①借地人の「借り得」の存在
②東京・横浜での借地権売買の慣行←1923年の関東大震災の後に一般化。
③大阪では、戦後の立退料の高額化を契機とする。
④権利金の授受土地収用・土地区画整理事業での「相当の補償」で借地権の補償。←住宅地20~25%、商業地50%・・・画一的な基準の必要性。
など、借地権・権利金は歴史的な経緯により認識され、確率されてきたものである。この意味では地域性があるともいえる。
2007年10月4日木曜日
資産承継の基本的な考え方
資産承継対策の基本は管理にあります。そして、資産承継管理の基本に物納条件の整備をおいています。
1.不動産の財産価値
資産承継の観点から物納出来ない不動産は負の財産と考えています。何故なら、他の財産から納税原資を作り出さなければならないからです。また、物納が可能であるならば、相続税評価額がその財産の最低価額であると考えます。
物納条件整備については、日々の管理の中で行っていくものだと考えています。この意味で、資産承継対策の基礎は管理にあるといえます。
不動産の売却の局面においても、相続税評価額をベースに考えます。何故なら、物納条件整備が行われた財産は、相続税評価額で収納されると考えられるからです。この意味で、最低不動産価値としてとらえられるのです。
2.費用対効果
物納条件整備を行うに当たり、費用対効果の検討が必要となります。最低不動産価値を実現化するための費用として考えます。最低不動産価格以上の費用を投下する事マイナスとなります。その分岐点は実効税率を基本に考えます。すなわち、その不動産が負担する税率以上に費用を投下すべきかがポイントであると考えます。
ここでは、測量費用等の不動産事業経費については事業経費性がある場合は不動産事業費用としてとらえます。
同様に、権利関係の清算(立ち退き料)についても、事業計画のなかの採算ラインと不動産価値の実現化を基本的な判断基準として始めなければなりません。
3.不動産の分類
不動産をカテゴリー別に分類するが、資産承継ポートフォリオの基本となります。所有者の意向・不動産価値の実現化の可能性・収益性等を基本に分類します。しかし、不動産価値の実現化(物納条件整備)の可能性が低くても、収益性が高く保有すべき財産が存在します。
1.不動産の財産価値
資産承継の観点から物納出来ない不動産は負の財産と考えています。何故なら、他の財産から納税原資を作り出さなければならないからです。また、物納が可能であるならば、相続税評価額がその財産の最低価額であると考えます。
物納条件整備については、日々の管理の中で行っていくものだと考えています。この意味で、資産承継対策の基礎は管理にあるといえます。
不動産の売却の局面においても、相続税評価額をベースに考えます。何故なら、物納条件整備が行われた財産は、相続税評価額で収納されると考えられるからです。この意味で、最低不動産価値としてとらえられるのです。
2.費用対効果
物納条件整備を行うに当たり、費用対効果の検討が必要となります。最低不動産価値を実現化するための費用として考えます。最低不動産価格以上の費用を投下する事マイナスとなります。その分岐点は実効税率を基本に考えます。すなわち、その不動産が負担する税率以上に費用を投下すべきかがポイントであると考えます。
ここでは、測量費用等の不動産事業経費については事業経費性がある場合は不動産事業費用としてとらえます。
同様に、権利関係の清算(立ち退き料)についても、事業計画のなかの採算ラインと不動産価値の実現化を基本的な判断基準として始めなければなりません。
3.不動産の分類
不動産をカテゴリー別に分類するが、資産承継ポートフォリオの基本となります。所有者の意向・不動産価値の実現化の可能性・収益性等を基本に分類します。しかし、不動産価値の実現化(物納条件整備)の可能性が低くても、収益性が高く保有すべき財産が存在します。
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