2007年8月30日木曜日

底地は不良資産?

底地は不良資産?貸地は戻ってこない!土地を貸してしまったら、取られたのと同じだと良く言われます。また、瑕疵地・不良資産とのレッテルを貼られているのも事実です。しかし、一定水準の地代が確保でき、処分(物納)が可能であれば、建物(マンション・アパート)の様に減耗する事もなく、永続的に借りつづけてくれる財産です。すなわち、安定的に収益を生みつづける財産なのです。
 アパート・マンション投資よりも底地投資の方がリスクも少なく有利だと考えられます。賃家は老朽化し、維持修繕費用もばかになりません。底地(土地)は老朽化することもなく、永続するのです。たとえ、借地人が死亡しても土地は残ります。借地人が借地の返還を望んだとしても、更地として帰ってくる事となります。建替え承諾料、名義書換料、更新料などを含めて考えると、こんな良い投資はないのです。
 例えば、底地を相続税評価額をベースにした、期待利回りを確保できる期待投資額以下で購入したとしましよう。物件条件を満たしていれば、地価が安定した現在では、購入価格を下回る事は少ないのです。
 それでは、底地購入金額はいくらが適正なのか、その基本には、物納条件整備費用・購入価額・地代水準・公租公課があります。
 底地の物納条件整備としては、境界を明確にするために、地積測量を行い、地積更正をする必要があります。この費用が大きな部分を占めます。隣接地主とは境界の確認を行い、借地人別に分筆する必要があります。また、契約書の整備、地代の水準の確保等が必要になります。これらの費用を見積るためには、物納条件整備の可能性、物納条件整備の内容を把握していなければなりません。
 普通借地権の地代の公租公課に対する倍率は住宅用地で4.2倍~3.1倍、非住宅用地で3.5倍~2.4倍といわれています。又、東京制裁の調停成立状況からも、住宅用地3.1倍、非住宅用地2.4倍とされています。地代は公租公課の2~3倍で妥当であると考えられています。
又、物納条件整備の中で、適正な地代水準が必要となります。東京では相続税評価額(更地)の0.8%程度・大阪では相続税評価額(更地)の1%が基本となります。そして、この水準の70%以下であれば物納は困難であると判断してください。

期待利回投資額の計算
相続税評価額(更地) 1億   5区画
相続税評価額(底地) 4千万
☆ 全て住宅用地として利用
☆ 投資期間10年
☆ 10年後に相続税表額(底地)の90%・・・3600万円で売却

  期待利回り     5%
  固定資産税額   
  1億÷80%×70%=8750万
               8750万×1.7%÷6=247,916/年

  地代          1億×0.8%=80万

                      (80-25)+(3600-X)
               0.05≧             10   
                             X
期待利回投資額の金額は2766万となる。

物納条件整備費用を考慮して、総額で投資すべき金額は2766円が上限であると考えられるのです。

底地購入の手法としては、① 共有持分② 法人で購入③ 特定目的会社④ 匿名組合⑤ 特定目的貸付⑥ 特別目的会社等の様々方法がありますが、投資物件として購入するのには、物納条件整備の手法を知り尽くし、物納条件整備を実際に行えるノウハウを有する企業の企画したものでないと、リスクが大きくなります。投資利回りだけ求めると、それこそ、不良資産を背負い込む事となります。また、質問の様に直接底地を購入する場合には、物納条件整備のリスクや費用を検討しなければなりません。この場合も、専門のコンサルティング会社に調査を依頼すべきでしょう。

最後に、底地投資のターゲットは旧法(平成4年8月1日)以前の契約の底地です。旧法には、様々な規制があります。その典型は堅固・非堅固の違いにより、契約期間が違います。利用目的が特定してあれば、利用目的変更、用途変更による条件変更として、土地代値上や承諾料をとる事が可能となります。今までとは逆発想ですが、拘束の多い物ほど利益を生むのです。物納条件整備について、費用対効果の検討が必要となります。最低不動産価値を実現化するための費用として考えて、期待利回り投資額以上の費用を投下する事マイナスとなります。その分岐点は期待利回投資計算式によります。

個人信託を利用した相続対策

信託のいろいろな機能

(1) 転換機能とは信託財産が信託受益権という権利となり、信託の目的に応じた形に転換できます。 たとえば、不動産を信託することにより、収益受益権と元本受益権に転換されます。収益受益権とは信託した財産からの収益を受け取る権利です。元本受益権は信託財産を戻してもらえる権利です。それぞれを別々に流通させ、相続させることができます。信託により不動産の流動化が可能となるのです。
(2) 意思凍結機能とは信託設定時における委託者の意思を、委託者の意思能力喪失や死亡という事情の変化にかかわらず、長期間にわたって維持できます。賃貸経営の安定や事業の継続正を守ることができます。自己の意志に基づく遺産分割や事業承継が可能となるのです。
(3) 受益者連結機能とは委託者によって設定された信託目的を長期間固定しつつ、その信託目的に沿って、信託受益権を複数の受益者に連続して帰属させることができます。遺留分の問題は別として、配偶者に収益受益権をすべて帰属させ、配偶者の生活安定を図ることができ、また、連続して事業承継者に帰属させることができます。また、事業の継続性からすれば、相続等の要因から分離でき信託期間中は事業が継続され続けます。
(4) 利益分配機能とは信託の元本及び収益を受益者に対して帰属させるこ とを目的としています。この受益権者の帰属の指定により自己の意志に基づく資産承継が可能となるのです。
(5) 倒産隔離機能とは信託財産が委託者および受託者の倒産の影響を受けません。信託財産は守られた財産として存在します。

個人信託で解決できること

(1) 老後の生活を子供達の世話になりたくない。病気や認知症になった場合には、自分の財産から治療費 や、介護費を支払いたい。そして、自分がもし認知症になってしまったら、悪徳業者などから大切な財産を守りたい。

(2) 貸地や貸家を持っているが、数十年も契約が続いている貸地・貸家が大半であり、契約の時期や内容   もバラバラだし、賃借人に相続が発生しているものもあり、管理が大変だ。相続が発生した場合、子供達は仕事があるし、遠方で管理ができなくなるので、一括して管理、運営を頼み、収益だけを帰属させたい。
(3) 私が所有している貸地、貸家を整理処分し、収益性の高いものに買い換えたいと考えているが、貸地、貸家の整理処分を行うのにあたって、自分ではできないし、紛争に巻き込まれたくない。安心で
きる第三者に任してしまいたい。
(4) 1人息子が心身に障害があり、私が死んだ後、財産の管理が出来ない。私の死後、私に代わって息子のために財産を管理して、息子の生活、療養についての不安を解決したい。

これらについては、信託の利用により解決することが可能となります。土地の有効活用等の事業化と
同時に相続の方法までを検討しておくべきです。新しい視点での相続対策の検討をおすすめいたします。