2008年6月16日月曜日
個人信託を利用した特別障害者の生活安定
特別障害者の生活安定のための信託
障害者の子供を持つ父母にとっては、自分たちの老後とともに、障害者を持つ子供たちの将来が心配です。子供たちの、身上看護、生活安定を考えなければなりません。しかし、障害者を持つ子供たちの生活安定は財産面だけではなく、身上看護から自分たちの任意後見問題まで関わってきます。
この問題に対して総合的に対応するためには、地域のたすけあいサービスと任意後見制度の利用、そして、個人信託制度の活用が不可欠です。この三位一体のシステムが無ければ、障害を持つ子供達の将来の安心は確保できないと言えます。そして、障害を持つ全ての子供たちが安心して生活できるために、相互扶養基金が創設されることを願います。
(1) 概要
特別障害者 (注1) の方の生活の安定を図ることを目的に、そのご親族等(注2) が信託会社に財産 (注3) を信託します。
信託会社は、信託された財産を管理し、特別障害者の方の生活費や医療費として定期的に金銭を交付します。
(2) 効果
この信託を利用すると、相続税法の『特別障害者に対する贈与税の非課税制度』により6,000万円を限度として贈与税が非課税となります。
6,000万円の評価は、相続税評価額で判断するため、収益不動産の生前贈与を信託により行えば、相続税対策としても有効です。
(注1)
① 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者または児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センターもしくは精神保健指定医の判定により重度の知的障害者とされた者
② 精神障害者保健福祉手帳に障害等級が1級である者として記載されている者
③ 1級または2級の身体障害者手帳所有者
④ 特別項症から第3項症までの戦傷病者手帳所有者
⑤ 原子爆弾被爆者として厚生労働大臣の認定を受けている者
⑥ 常に就床を要し、複雑な介護を要する者のうち、精神または身体の障害の程度が上記①または③に準ずるものとして市町村長などの認定を受けている者
⑦ 精神または身体に障害のある年齢65歳以上の者で、その障害の程度が上記①または③に準ずるものとして市町村長の認定を受けている者
(注2)
個人であれば、ご親族でなくても可能です。また、共同で信託することも可能です。
(注3)
① 金銭
② 有価証券
③ 金銭債権
④ 立木および立木の生立する土地(立木とともに信託されるものに限ります)
⑤ 継続的に相当の対価を得て他人に使用させる不動産
⑥ 受益者である特別障害者の居住の用に供する不動産(上記①から⑤までの財産のいずれかとともに信託されるものに限ります)