2007年10月11日木曜日

土地沿革の調査

調査の対象として、土地台帳、閉鎖登記簿等により概ね明治30年以降の沿革が分かります。
そして、その調べた沿革の中から図面等の資料を収集し、整理します。特に重要なものとして次のようなものがあります。

①旧公図等の古図
一般的に見取図的な公図は、境界線復元には向いていません。しかし古図の中には、正確な測量により作製されたものや、各土地の辺長が記載されたもの、里道・水路のみではあるが、辺長が記載されたものがあります。
②分筆申告図
一般的には昭和25年以降のものが法務局又は市区町村役場に保管されている事例が多いのですが、これも分筆地の辺長が記載されている場合が多いので、参考となります。
③地積測量図
皆様よくご存じだと思いますが、この図面は概ね昭和55年以前と以降により大きく変わります。それ以前は利害関係地との立会を省略して作製された図面が多くあるからです。
④開発図、換地確定図
広範囲に各土地の辺長や角度等が読み取れる場合が多いので、特に重要な資料であります。最近のものでは、境界点等の座標値が入手できる場合もあります。
⑤14条地図と境界点、基準点の座標値
14条作業が最近のものであれば、容易に境界点が復元できます。しかし、この14条地図の作製が昭和50年代であれば、境界点の座標値が存しない場合があり、この場合は図上読み取りにより筆界線を復元しなければなりません。

これらの収集した資料と、測量地や隣接地の周囲にある既設の境界標、現況地物を照らし合わせて、総合的に判断するわけです。
実際の立会時には、境界線について土地の所有者が、ここが境界であるとの認識があるわけですが、双方の認識が合致している場合や相違している場合、又は曖昧な場合があります。
何れにせよ、土地家屋調査士が想定した筆界線(収集した資料により幅がある)の範囲内で境界線を確認することが重要なのです。実際の立会では、双方の所有者の認識と違ったところが筆界線であることもよくあります。