2007年9月8日土曜日

借地権のリバースモゲジ化

高齢者借地人は、古い住宅での年金暮らしを強いられています。厚生年金に加入していて、生活に困らないだけの年金収入がある借地人もいますが、自営業のため基礎年金収入しかない場合や年金の加入もしていない借地人は、賃料の支払いさえままならないということが多々見受けられます。一方では、子供がいても自分の住宅ローンやその子供の教育資金の捻出で手いっぱいで、親の面倒をみられるような状態ではないといったケースがほとんどです。今後、問題となる借地権を利用したリバースモゲジの可能性を検討する必要が生じています。自治体が住民の住宅を担保として生活資金の貸付事業を行う、いわゆる逆住宅ローンというのは知っているかもしれません。しかしこれが、借地とどういう関係があるのかと訝しがるかもしれません。自治体は一定条件のもとに住宅等を担保として資金を貸し付け、将来において清算するシステムをリバースモゲジと言います。この自治体の代わりに、地主が自分の貸付地(借地人からは借地権付建物)の将来における確実な返還を目的として、借地権付建物を担保として、借地人に資金を貸し付けることが可能です。
 地主が借地人の生活を支援することで、借地人と地主の利益の均衡を図ることができます。この方法は借地人に子供等の相続人がいても将来、借地人が死亡した際に、当該借地権付建物を相続しないことを前提としています。核家族化する中で、両親の自宅敷地の借地権を相続する必要性が薄れてきています。
①建物に抵当権等の担保権を設定して、一定額を地主が貸し付ける方法です。地代が仮に月額24,000円とすれば、10年使用しても2,880,000円です。15,120,000円の貸付であれば、地代を払っても月額102,000円を生活費に充てることができるようになります。
15,120,000円 - 2,880,000円 ÷ 120ヶ月 = 102,000円10年内に清算が必要となる場合は、地主は担保権を実行して清算する事となります。地主にとっては、将来の借地権買い戻し資金を提供することになります。
②建物を買い取り借家契約に変更する方法借地権付建物を地主が時価で買い取り、建物名義を地主に変更し、借地権を消滅させる方法です。建物の賃貸借の場合通常2年乃至3年の契約が一般的ですが、この場合は、10年程度の長期契約または定期借家にする必要があります。また、家賃設定も通常家賃ではなく地代に建物等の固定資産税をプラスした程度の低い家賃設定にすることになります。借地権を明け渡し期間限定して取り戻すことになります。普通借地権の定期借地権化と考えられます。③定期借地権の建物買取り型の場合に、建物買い取り金額と家賃を相殺していく方法によりスムーズに住宅のリバースモゲジ化が可能となります。将来の生活安定を視野に入れた住宅取得について考えて見てはどうでしょうか。