マンションには大規模な団地形式のもの、狭い敷地に建てられたもの、雑居ビル型やリゾート型、古いもの新しいものなどいろいろなものがあります。住んでいる人も様々です。ですから、絶対的な管理方法は存在しないでしょう、個々のマンションにあった管理が存在すると言って良いでしょう。
日本だけでなく諸外国にもマンションはありますが、海外の管理形態には様々なものがあります。
海外のマンション事情は、数からいくと圧倒的に多いのは韓国です。2000年現在の韓国の全住宅数の47.8%がマンションです。ソウルでは51.8%となっています。法律制定は日本より10年ほど遅れていますが、10数年前に共同住宅管理士という制度ができています。アジアでは他に、上海が今マンションの建築ラッシュです。ここでは、管理という概念がまだ生まれていないようです。
イギリスでは19世紀から集合住宅があります。所有の形態はかなり日本と違っていますね。フラットと呼ばれています。開発業者が土地を手に入れ、建物を建て、共用部分はそのまま所有し、専有部分のみを分譲して、専有部分の購入者が土地・建物の共用部分を長期間借りるという形態のものがほとんどです。ですから、専有部分の所有者が共同して管理を行うことはなく、管理に対して請求された金額を払うのみです。もちろん、日本のマンションと同じ所有形態のコモンホールドというものもありますが、これに関しては、現在アメリカ等を参考に立法化しつつあります。
アメリカは比較的わが国と近い管理組合の機能や仕組みになっています。アメリカと日本との大きな違いは次の4つです。
1. 規約・居住ルールの他に、建物の概要・権利関係・維持補修等の決議要件の割合・譲渡に関する制約等が定められている「宣言証書」が設置されている。
2. 積立てるべき修繕積立金を法律で明示してある。
3. 民間の紛争処理専門会社にトラブルの解決を依頼する。また、その旨を規約に書き込み、前もって会社と契約締結しておく。
4. 管理者の設置が義務付けられていない。
アメリカでは、その他にコンドミニアム(マンション)購入者を保護する観点から、行政機関がパブリックレポートというものを審査する仕組みが設けられています。
パブリックレポートとは、コンドミニアムを建築して分譲するディベロッパーが建築物の概要や権利関係を説明した書類で、何段階もの行政審査のステップを経て承認を得なければなりません。この承認がなければ、ディベロッパーは販売のための広告物等の配布ができないのです。これがあることで、購入者は自己責任としてこのパブリックコメントを注意深く読むことが期待され、また、売買契約前に専門家のアドバイスも受けられます。
ドイツ・フランスでは管理者の設置義務が法律化されており、管理業者が管理者になるのが普通です。日本の場合は「管理者をおくことができる(区分所有法3条)」と任意となっています。
マンション管理方法は国によっても違います。そして、マンションによって千差万別です。マンション管理によって資産価値がかわる時代がやってきます。他人任せのマンション管理について一度考える時期がきていると感じます。